未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「時田?」
包み込むようにあたしを抱きしめながら辻之内が言う。静かに、少しだけ躊躇うように。
──この気持ち、伝わっちゃったかな?
伝わってくる雰囲気にそんな風に感じたら
「お祭りには一緒に行けないけど」
って辻之内が、あたしの手をとって何かを握らせた。
「……?」
それは、硬い金属の感触。
そっと指を開くと………鍵?
「これは?」
「私書箱の鍵だよ」
「……あの時の?」
「うん。契約は二ヶ月、保管期間は9月24日まで。
時田、今度一緒に行こ?」
鍵には小さな札がついていて、そこに書いてある住所には見覚えがあった。