未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
とその時、気安くあたしの肩に腕をまわしてきた男が一人。
「湊ちゃん、元気してた~?」
相変わらずのこの気安さ。
「もう、暑いってばっ。肩組まないでよ!」
しかも、真っ黒に日焼けしたせいでエロさ倍増してるし。
きっと吉井のことだから、海なんかでナンパ三昧の休みだったんじゃないのかな。
ため息をひとつこぼして、またキョロキョロとしてみる。
吉井が登校してるってことは、辻之内も来たかなって思って。
でもその姿は確認できなくて、吉井に辻之内は? って訊こうとした。
だけど──
「ちょっと見て! すごい車ーっ」
「あれ誰ー?」
「あっ 降りてきたよ」
「うちの生徒だって。ダレダレ?」
突然、窓辺にたまってる子達がザワつきだしたんだ。
……そして、
「ねぇ、あれって辻之内じゃない?」
クラスメイトの誰かが言った一言に、リカと吉井に続いてあたしも急いで窓辺へ立った。