未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

そして、その今井さんが

｢ちなみに王子の席は、そこだよ｣

とまん中の列を指で指した。


さっきの『はーい』より、うれしそうに聞こえた。


辻之内に向けた笑顔は、特別、とっておきのスマイルに見えた。



ホントにイヤになる、あたし。

またこんな気持ち抱えてる。


これも、さっきのことのせいかな？


こういうのって、すごく醜いな……。




｢オイッ 辻之内も吉井も、早く座れー！｣


キジモンの声に、仕方なさそうに歩きだす辻之内。



そして今日からの新しい席へ着く直前、またクラス全体を見まわした。


キョロキョロしてるその顔が窓際へ向いたとき、

あたしの視線とぶつかった。


辻之内が微笑む。


｢……｣



だけどあたしは――


目を逸らしてくるりと首を反転させた。