未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
ここまできたんだから、はっきりさせちゃおう。


ねぇ 辻之内、もうひとつこたえてくれるかな?



「辻之内、訊いてもいい?」


「えっ?」


と微笑んで、あたしと向かい合うように机に浅く座る。



「辻之内が…」


「なに?」


「辻之内がずっと想ってた天使には、会えたの?」



尋ねると辻之内はキョトンとして。


でもすぐに笑顔になって

「尚太だな…」

って呟いた。



これ以上ないくらいに優しい笑み。

それは、大好きなもののカケラのひとつのはずなのに。


次に放たれた言葉に、あたしは悪い意味で確信する。


あたしの気持ちは通じていなかったって。

伝わってたかは、わかんないけど。


少なくても、通じあってはいなかったって。
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