未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「天使には会えたよ。

ずっと探してて会うことができた。それで、こっちの気持ちを伝えることもやっとできたよ」


“こっちの気持ち”

それは、辻之内の気持ち ――


「……好き、なの?」


「うん、ずっと好きだった。そしていまでも大好きだよ」



その瞬間、目の前で辻之内への扉が遮断されたように思えた。


こんなに近くにいるのに。

手を伸ばしても触れられないって。


その心には、指先さえも届かないように思えた。



あたしは、なにを思いあがっていたんだろう?

ひとりで、なにを舞いあがっていたんだろう?



呼吸が苦しい。


好きな人と一緒にいるのに、いますぐにどこかに行っちゃいたいよ。

ひとりになりたい。
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