未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
そのあとで、資料の束を抱えて教室に戻ったあたし達を、みんながはやし立てた。
『戻ってくるの遅くねー?』
『準備室にふたりで、なにしてたんだよー』
そして、口笛と笑い声――
そんなんじゃないのに。
辻之内には、別に思ってる人がいるのに。
冗談でも止めてほしかった。
だって、みんなだって見たじゃない?
辻之内が、彼女の車で送ってもらってるところを。
いろんな噂話をしてるじゃない?
なのに……
余計に惨めになるよ。
席に戻るまであたしは、誰とも目を合わせることができなかった。
本当は俯いてしまいたいぐらいだった。