未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「林田って、やっぱり湊のこと気に入ってるみたいだね? 『可愛い、可愛い』って言ってるって、前からナカジーから聞いてたし」

そっと耳打ちしてくるリカ。



そんなこと言われても、実際、彼と話をするのはこれが初めてで。

あたしが知っているのは、クラスとサッカー部のレギュラーだってことぐらい。


いままで特に接点なんてなかった彼にそんなこと言われてたって聞いても、あまりピンとこない。



「そんなことはいいから! 今日はリカのために付き合って来たんだよ。いとしのナカジーに接近しちゃうんでしょ?」

「おっと、そうでした♪ あれっ ナカジーは?」


と、そのタイミングで頭の上から声がした。

「おーい、遅ーい!」



その呼びかけにリカが全身で反応するのがわかった。

体全体でピクンって。

まるで子犬みたい、可愛いすぎる。


そして「はーい、いま行きまーす!!」って、ピョンピョン跳ねるみたいに駆け上がっていく。

それは、恋してるなぁ、って思わせる姿。



学校の帰りに、リカとその想い人・ナカジーと、それからその友達の5組の林田くんとカラオケに来ていた。
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