未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「遅れると、あいつウルサイから。俺らも行こ?」

「あっ うん」



階段の途中で立ち止まって笑顔を向けてる林田くん。

彼のいる段まで追いつくため、上ろうとした時。



ズテッ グキッ



「痛っ!」

段差につまづいて膝をついてしまった。


「大丈夫っ!?」

慌てて林田くんが下りてくる。


「ちょっとつまづいただけ。平気」


「でも、血がでてる」


「えっ?」


見ると、言われた通り擦り剥いた膝に薄く血が滲んでいて。


「でも、かすり傷だから大丈夫」


「だけど、結構剥けてるし」


彼が言ったのは、たったいま擦り剥いた傷だけじゃなくて。


「……これは、違うの。前にも同じとこ擦り剥いちゃったから…」


言いながらスカートを手でパンパンと掃い、立ち上がろうした。
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