未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

なんで、こんなとこで会っちゃうんだろ?

どうして二人でいるとこなんて……。


見たくなかった。


付き合っているんだ ――

って、わかっていながら認めたくなかった事実を見せつけられた感じ。

早く諦めろって諭されてるような。



ふと気づくと……どこからか流れてくる音楽。


それは、さっき林田くんがカラオケで歌ったあの曲。



―― 忘れようと思っても 君の笑顔が胸をかすめるよ

だけどキミの横には 僕じゃない彼がいて


その景色にそっと目を閉じて 僕はひとり歩きだす ――



切なげなメロディに絡む、ボーカルのちょっとかすれた歌声。


秋晴れの空とは対照的に、あたしの心は憂鬱な色をしていた。



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