未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

*クロスロード





次の朝。


昨日の処置がよかったのか、足の痛みはかなりやわらいでいて。

ベッドから降りてみると、昨日ほど引きずらなくても歩くことができた。


林田くんに会ったら、お礼を言わないと。


そう思ったとき、昨日あった出来事を思いだす。


そしたら必然と頭に浮かんだのは、辻之内と彼女が並ぶ二人の姿。

仲良く連れだって歩く姿。


それに彼女が着ていたのは、辻之内のシャツだった。


そんなことを思うと、一緒に過ごしたときの


彼の香りや、感じた温度

笑顔と、真剣な眼差し

触れ合った唇の感触

あたしの名を呼ぶ声、甘く囁く声 ――


愛しいって感じたすべてが溢れそうになって。



チクン



やっぱり胸が痛む。
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