未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「リカ、あたしね……フラれたの」


「告白したの?」


「……してないけど、違う人が好きだって想いは告白されたかな」


そう言って、作った笑顔を向けた。


あたし、うまく笑えてる ――そう思った。

バカみたいだけど、自分でそんなことに関心してるあたしがいた。



「ねぇ リカ、またカラオケ行こうよ? 昨日はあたし、足がこんなで全然楽しめなかったし。
そうだ! またナカジーを誘って。ね、リカ?」


「湊……」



リカの恋が、どうかうまくいきますように。

リカがナカジーからもらったキスが、どうか本物のキスでありますように ――


窓の外に見える、青いシートで囲まれた旧校舎を眺めながら、心の中で呟いた。


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