未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「カラオケボックスでトイレ行ったとき、中島となんかあったんじゃないの? さっきから態度がぎこちないし」


眉をへの字に曲げて心配してる。

やっぱり優しいんだね。


「時田…」



スーっと思いっきり吸った息をゆっくりと吐き出す。


「……そんなに気にしてくれるのは、なんか知ってるの?」


「えっ」


「前にもナカジーのこと言ってたでしょ? あいつもちょっとはマジメになったらいいのに…みたいなこと」



ハンドルを握ったまま彼は、逆に聞き返したあたしから視線を外して。

そして、いつもの元気な感じとは真逆な静かなトーンでポツリポツリと言った。


「あいつとは友達なんだけどさ、その友達の俺でも知らないことがあって。っていっても噂で聞いただけで、本人に確認したわけじゃないんだけど。見かけによらず、よくない話も耳にしてて……」



なにも林田くんが、そんな顔しなくていいのに。

まるで責任感じてるみたいに、彼は下を向いて立っている。
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