未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
家の近くの角を曲がったところだった。


あと30メートルも歩けば家に着く。



きっとあたし達より先に、こっちに気づいていたんだと思う。


あたしが気づいたのと同時に彼は、塀にもたれていた背中を離して真っ直ぐに立った。


こうやって離れて見ると、改めてそのスタイルの良さを感じる。


高い背丈の上の小さな顔。

きれいな髪、整った顔立ち ――



辻之内、どうして家の前にいるの?


なにをしに来たの……?



隣にいる林田くんも戸惑いを隠せないみたいで、何か言うことも歩きだすこともせずにいた。



どうしよう ――


そう思ってから数秒後……



長い足が、こちらへ向かって歩きだす。
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