未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
リカからも来てたし、二人にメールしておこって思った時


「さっきもその制服を着た男のコが通ったけど、どこの学生さん?」


声をかけてきたのは、モップを片手にあたしのことを繁々と見つめる中年のオバチャン。


「……男のコ、ですか?」


訊き返すとその掃除のオバチャンは、

「そうそう。背が高くてね、おまけにイ・ケ・メ・ンだったよ」

と言ってニッコリ笑った。



「えっ それっていつですかーーっ!?」


思わず目の前の逞しい腕にガシっと掴まるあたしにたじろぎながら、オバチャンは答える。


「えーっと、少し前よ。まだ、そうね……30分も経ってないと思うけど」



来たんだ ――


やっぱり辻之内はここに来たんだ。



「あっ ありがとうございます」


急にお礼を言われてキョトンとしたオバチャンは、慌てて出て行こうとするあたしにもう一つ、情報をくれた。



「でも一緒にいた女が、ちょっとケバかったな~。

あれ、カノジョなのかね。カレのほうと変わらないくらい背が高くて、やけに短いスカート穿いてたの」




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