未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

*事実は小説よりも






「こっちが幼なじみのリサで、こっちが兄貴のコ…」

「姉のココよ!」


言いかけた辻之内の言葉を遮るように前へを乗りだし、ニッコリ微笑んだ。



ここはカジュアルな雰囲気のイタリア料理店。


ホテルを出たあたし達は食事をとるためと、

なにより、こじれた話の収集のためにここへ来ていた。


四角いテーブルを挟んで、向こうにはココさんとリサさん。

こっちには、あたしと辻之内が並んで座っている。



「ふたりとも写真で見たよね?」


辻之内があたしに向かって言った。


「それって書庫で見た、小さい頃のあれ?」


「そう。あれ」



そう言われても……やっぱり納得できない。


運ばれてきた料理を、あたしの向かい側で一人ムシャムシャと食べ続けるリサさんに、昔の面影なんてこれっぽっちもなく。



そしてそして、あなただよ!


オネーサン! じゃなかったオニーサンッ!!
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