未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「……こちらがお兄さんの、虎太郎さん?」


一応気を使いながら尋ねると


「そっ 兄貴」


と素っ気なく言って、飲み物に口をつけた辻之内。

に対してココさん。じゃなかった、虎太郎さんは


「シッ 周りに聞こえるでしょ!! こういうとこで言わないでよ、その名前は」


なんて頬を膨らませた。



……声は確かにハスキーかもしれない。


それは前に、辻之内家の玄関で会った時に思ったんだけど。


でもやっぱり男になんて、見えないよ。


目の前に座ってるこの人は、どう見たって美人なオネーサマでしょ?



「兄貴がベタベタするから、時田に変な誤解させたんだからな」


「ベタベタしてなにが悪いのよ!? 血を分けたキョーダイなのよ、アタシとアンタは。
なによ。たまに日本に帰ってきた時ぐらい、もうちょっと優しくしてくれたっていいじゃないっ」
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