未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「それにしても葵、よかったじゃない? 湊ちゃんの気持ちが確認できて、これでオコチャマ熱ももう出なくなるんじゃないかしら?」


「オコチャマ熱……?」



それって前に辻之内が言ってたアレだろうか?

緊張しすぎると熱だしちゃうっていうアレ。


それと、今日辻之内が具合が悪くなったのって関係あるのかな?

さっきホテルで、まるであたしのせいみたいなこと言ってたよね……。



「あぁー、もう余計なことはいいから。食べたら帰るよ? 今日はもう疲れたよ」


ますますキゲン悪げにそっぽを向く辻之内。

小さな子みたいに、こんなにプンプンしてるのって意外な一面かも。



「あのぉー」


険悪なムードを崩そうと声を出してみた。


「「ん?」」と同時に振り向くあたり、やっぱり兄弟。


リサさんは食べることに夢中だから、虎太郎さんに向かって訊いてみる。



「あの、さっき言ってましたよね?
あたしのことを彼の『人生を狂わせた』って。あれってどういう意味でしょうか?」


「それはね、湊ちゃんに恋しちゃったおかげで葵はぁー……」


って、せっかく言いかけてくれたのに。


「もうっ その話もさっきのも帰ったら話すから。兄貴はもう黙っててくれよっ」


なんてまた辻之内がプンプンするもんだから、訊けずじまいになってしまった。



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