未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
 *



「いつまで仮病してんの?」


甘く優しい声がする。


「二時間目始まってるよ」


眠りの海からあたしの意識をさらおうとする。

でもその声は、うっとりするくらい甘過ぎて、目覚ましには適さない。


「いい加減起きろって」


いつにない、ちょっと乱暴な言葉遣いに心をくすぐられ。


「時田?」


聞き慣れたトーンで名前を呼ばれて。


「この仮病娘が」


仕様がないなって言い方で、そして………


「ギューーッ!」


ん。ギュー?

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