未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

*王子の城へ


”心理学の書物がある場所”


それはてっきり図書館のことだと思ってた。

でも、いま歩いてる場所は、住宅街のど真ん中なわけで。しかもここって、あたしの家からそんなに遠くないとこだし………いったい何処へ向かっているんだろう?



「ここだよ」


言われて立ち止まった場所は、豪邸といったら大げさだけど、それなりに大きな一軒家の前だった。


(ここって?)


疑問を抱いたのは一瞬。
門に掛けられたオシャレな表札が、すぐに目に止まった。


「どうぞ」


微笑んだ辻之内が、エスコートするみたいに片手を上げてその奥を指し示した。

まさかのお宅訪問に緊張しながらも、誘導されるまま円形のアーチをくぐり、その先へ足を進めた。

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