マスカラぱんだ
「紫乃ちゃん。あっちにもっと綺麗に見える場所がある。行こう。」
ようやく公園に着いた僕は、君に向かって手を差し伸べる。
恥じらいながら、口元に笑みを浮かべて僕の手に、白くて小さい手を乗せる君。
今まで、子供のようにはしゃいでいた君が、一瞬にして恋する乙女の表情を僕に見せる。
こんな表情を見せられて、冷静でいられる方がおかしいだろ?
愛しい君と、1ヶ月も会えなかった寂しさと辛さを思い出した僕は、このまま君を抱きしめたい衝動に駆られた。
だけどそんなことをしたら、折角の綺麗な夕日を見逃してしまう。
胸の奥に湧き上がった衝動を、無理矢理抑え込んだ僕は、君の手をギュッと強く握り締めたまま、足を進めた。