マスカラぱんだ


どれくらい泣いた?

彼に連れて来られたこの公園のベンチで、涙が枯れるまで思い切り泣き続けた。

大分落ち着いて冷静になると、ハンカチを貸してくれた人がまだ私の隣に座っていることに気付く。

一体、この人は誰?

自分の隣に座っている人が、誰なのか気になり仕方がなくなった。

チラリと横目で、彼を盗み見する。

碧の部屋に、いきなり現れた謎の人。

この人のお陰で私、碧にヤラれなくて済んだんだよね?


「あの・・・助かりました。ありがとうございました。」


私は碧から助けてくれたお礼と、ハンカチを貸してくれたお礼を彼の目を見つめながら口にする。

でも彼は、すぐに私の顔から目を逸らすとこう呟いた。


「いいえ。あの、さっきも言ったけど。君・・・トイレで鏡、見た方がいいと思うよ?」と。


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