死神彼氏と五日間
――――…私が真面目に返事をしてるだけなのに、何がいけないんだろ?
「……まず第一に、[悪魔のキス]は受けるな」
――――…悪魔のキス…?
「私、そこまで馬鹿でもないしアホでもありませんよ?」
「余裕こいてんじゃねーぞ、こら」
「べ、別に余裕だなんて思ってません!」
――――…言葉遣い悪っ!
態度といい、言葉遣いといい…死神さんは本当にマナーがないなぁ…。
というか、さっきの優しさは何処へ…?
「あいつはとくに、[悪魔のキス]までのシナリオに導く天才なんだ。俺は何人もそのシナリオに陥った女を見てきた…」
―――――…心配してくれているのかな?
……だと、嬉しいかも。
「でも、なんでその[悪魔のキス]をされちゃいけないんですか?」
ソウシの紅い瞳が真奈を睨んだ。
――――…怖っ!
「あいつらは、キスで相手の魂を食うんだ…」
真奈は気づいていないが、ソウシが睨んだのは真奈ではなく、その奥にある壊れた置物の残骸だった。
ソウシはそれからあの悪魔の顔を連想させたのだ。
――――…くそっ、俺の標的にまで手を出しやがって!