死神彼氏と五日間
<<間章>>
最近の街は夜でも明るい。
それは群れていないと弱い人間の習性で、こんな夜中でも蛍光灯があちらこちらに見受けられる。
しかし
この公園はまるで人気を感じない。
生気を失ったように静かで、暗い。
それは彼にとっては好都合だった。
姿を暗ました彼の瞳だけが青く光っている。
「タクマ…」
『タクマ』
それは彼が持つ名前のひとつ…
甘いような声で彼にしがみつく女がいた。
―――――…鬱陶しい。
そう思うがこれも自分のため。
彼はあえてその腕を振り払わなかった。
「タクマ…」
また、呼ぶ。
――――…お前の望んでいることはわかっている。
それは人間が確かめ合う『愛』…――――
今、女はそれを彼に望んでいた。
「どうしてほしいの?」
自分の心が相手に悟られないように、優しく振る舞う。
すると、暗い闇の中て女の瞳が閉じた…気がした。
これはもともと彼が持つ能力のひとつ。
どこかしら触れていれば、相手の表情がわかるのだ。
あくまで直感だが、それが外れることはまずない。