Frist time
少しずつ玲菜に近づいていこうとするが、
泣いているあいつの背中は、
今までのが想像出来ないほど小さくて、
近寄れなかった。
でも、あいつが泣いてる。
ほっとく訳にはいかないよな。
意を決して、数メートル離れた玲菜の背中に声をかける。
「玲菜」
俺が呼んだ瞬間、玲菜は肩をビクッとさせて、恐る恐るこっちを向いた。
そして俺の顔を見ると、暗闇でもはっきりと分かるくらい驚いた顔をした。
確かにこんなところに来るとは思わねぇよな。
俺だって普通は来ねぇし。
とりあえず、何があったかぐらい聞いてやるか。
「…玲」
「何?」
名前を呼び終わる前に聞こえた冷たい声。
一瞬、誰に言われたのかすら理解することが出来なかった。