十人十恋-じゅうにんとこい-
「小学生の時、夜、こうやってハルくんの部屋に行って、お話ししたり、ゲーム一緒にしてたよね」

「あぁ。そうだな…」

胸の谷間がエロイ!

「私、ずっと、エイちゃんと、みっちゃんとハルくんと一緒にいたかった。転校したくなかったなぁ…」

玲は悲しそうに微笑んだ。

玲が中学校の時に何かあったんだろうか。

「なぁ、何で、その…失礼なんだけどさ…、どうして、変わったんだ?」

「どうしてって…、成長したからよ?女の子は男の子より、心の成長が早いのよ」

そうじゃない。何か違う。

「そうじゃなくて、中坊ん時、何があった?」

「別に。ハルくんには、関係ないよ」

微笑んでいたけど、玲の目は悲しそうだった。

「関係ないかもしれねーけど、楽になると思うけど」

って俺がっつったら、玲はうつむいて、口を開いた。

「…イジメ。私、普通の女の子より、少し、太いし、あんな性格だったし…」

玲は、泣きそうになりながら、中坊ん時、イジメられた話をした。

イジメられて、不登校になって、うつ病になった。

靴を隠されたり、ハブられたり、体育館で使う靴に画鋲が入っていたり、

小学生の時、修学旅行で美月と瑛子とおそろいで買ったキーホルダーを壊されたり、

机に●ねと書かれたりしたそうだ。

でも、美人で気の強い素敵な女の子がいつでも傍にいて、応援してくれた。

その女の子の名前は“黒木紗世(クロキ・サヨ)”は、センコーにチクりまくっていたが、そのセンコーは『知らん』の一点張りだった。

玲が登校拒否になってから、紗世がイジメられたらしい。

それでも、紗世は中学三年間、我慢して毎日学校に行って、委員長になったり、テストで一番を、いつも取っていた。

ちなみに紗世には別々に住んでる双子の妹がいて、その妹は、空森に住んでるらしい。

「そうか…、大変だったな」

「紗世に比べたら、そうでも無いケド…」

「その、なんつーか、人の辛さと自分の辛さって比べない方が良いぞ。つーか、比べないほうが楽になるし、劣等感を感じる必要もねーし」

玲は涙声になって、「ハルくんは優しいね」と言ってくれた。


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