十人十恋-じゅうにんとこい-
今、アメリカにいる、美月ちゃんに教えたら、『がんばれ』と言われた。

そして、『男は魚の数ほどいるように、女もいるんだから、サッサッと次の恋に行った方が良い』とまで言われた。

はぁ…

そう言えば、僕はどうして白川さんを好きになったんだろう…

今年の四月、、、

僕たちは入学して間もなかった頃、周りが不安で緊張している中で、堂々としていたのが、白川紗江さんだった。

クラスの委員長にも立候補してくれて、何もかもが完璧な女の子だった。

それに比べて僕は暗くて、彼女を影から、見ることしか出来なかった。

四月の中旬、僕は、上級生が白川さんに告白しているところを見た。

盗み聞きなんて、するつもりはなかったのに、ついつい聞いてしまった。

「白川、好きだ…」

「……ごめんなさい。私、そういうのに興味が無くて…。失礼なんですが、先輩は私のドコが好きなのですか?」

「…まぁ、そりゃ……かわいいところ、だけど」

「そうですか…、お気持ちありがとうございます。でも、私は先輩の思うような人ではありません」

『先輩の思うような人ではありません』を聞いたときから、白川さんを好きになったのかもしれない…

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