Ti Amo
「…あっ……ゲホッ」
俺に気付きこちらを見る彼女。
「す…すいませんっ…」
そう言って頭を下げると
体の向きをくるりと変えて
保健室から出ていこうとした。
「お、おい!」
そんな彼女を何故か俺は無意識にひきとめていた。
「なんですか…?」
何も考えずに言葉を発した俺は、今更何を言おうかと考えた。
「お前、寝てかねぇの?」
数秒間フル回転で考え出した言葉がこれだった。
「えっ…、いや、あの…あたしの咳がまた、うるさいかなって……。」
「いや、いいよ。俺もう教室戻るし、寝てけば?」
「あ…、ありがとう」
俺が急にそんなことを言ったからか、
驚いたような表情を浮かべた彼女はニコッと笑いお辞儀をした。