男装人生


最初から近かったのだが、ぐっと引き寄せさらに近くなった。
目の先には当然希夜のドアップの顔だ。


今度はなにをする気だろう・・・

「前も言ったけど、逃がすつもりはないから。」

「な、なに言ってんだよ、ハハハ・・・へ?」

どんどん近づく顔。

「今のうちに泳いでいればいいよ。」

「ち、ちょっと‼」

ひゃーーー近い近い近いっ‼
この距離って、まさか⁉

バクバクと心臓が嫌な音をたてる。

こんな形でするなんて・・・


「あ、後、一つ。胸元、気を付けて。」


私の唇(クチビル)まで数センチ。
ピタリと動きを止め、そう言った。

ベコッ

「痛っつ‼」

今日3度目のデコピン。

気が付くと希夜は玄関に向かい歩いていた。
私はその後ろ姿をぼんやり眺める。

ふつふつと怒りが湧き上がる。
あのヤロー乙女心をもてあそびやがって‼

しかもデコピンまで‼
希夜ってば絶対変態(ヘンタイ)だ‼

ん?・・・変態?

胸元をパッとみる。

シャツのボタンが2つ取れ、サラシが・・・

いやーーーーー

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