男装人生



茫然と立ちすくむ。

うぅ~もうお嫁にいけないかも・・・。

きっと、シャツを引っ張られた時に取れたのだろう。
全然気づかなかった。


どんだけ強く引っ張ったんだよ、バカぁ~


「あの、、大丈夫?」

「わぁっ‼」

どこからともなく鈴音が現れた。

急いでシャツを合わせ胸元を隠す。
サラシ見えてないよね・・・?


「今までどこに?」


鈴音は最初に私達が隠れていた1本の木と、草むらを指す。

「いやいや、さっき希夜が探した時は・・・」


まさか・・・


「木ッ?」

こくんと何事もないように頷く。


「高龍寺希夜が近づいてきたときはさすがに焦った。」


ツッコミどころ満載だけど、一度ゴミ処理場で鈴音の身体能力の高さをみているから納得だ。
だけど、いつの間に木に登ったんだろう。
音もしなかった。


「アイツ妙にカンがいいから・・」

「ハハハ・・・」


確かに。
私もアイツの妙なカンで何度危険な目にあったことやら。

ま、なにがともあれなんとかのり越えられて良かった。
ボタンが取れて全開のシャツは、カーディガンのボタンをしめて何とかやり過ごすことにする。

.


< 162 / 407 >

この作品をシェア

pagetop