男装人生


つぶらな瞳を潤ませたくるみちゃんがいた。

来客の人たちはとうの昔に帰ったはずなのに、なぜこんなところにいるのだろう。
またはぐれてしまったのだろうか?



「お姉さんはどうしたの?」


「うぅ・・・にぃに・・・」


くるみちゃんは泣く寸前の表情で玲李の声は届かない。

どうしようもないので、圭也に連絡を取ることにした。


電話のコールには待ち構えていたかのようにすぐに出た。

くるみちゃんがグランドにいることを伝えるとすぐに切られてしまう。


圭也のことだから全速力でこちらに向かっていることだろう。


思っていたとおり数分もしないうちに圭也が現れた。




「くるみ――――っ‼」


汗だくになりながらこちらに走ってくる。

たまに何もない所でつまずいたりもしている。
今まで必死に探していたのだろう。


「にぃに」


くるみちゃんは一層涙目になっている。

そんなくるみちゃんをやっとたどり着いた圭也は抱きしめた。



「ったく、ちょろちょろして・・・心配するだろ?」


「うぅ・・・にぃに~」


安心したのかくるみちゃんは本格的に泣き出してしまった。
ほんとにお兄ちゃんが大好きなんだな。


一時するとお姉さま方もやってくる。


「も~う、くるみちゃんったら、一瞬の隙をついて逃げるんだから~」


「一瞬の隙ってなんだよ。ちゃんと見とけよ。」


いつも見ない圭也の怒った顔だ。


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