男装人生



家族は大事だ。
だけど・・・


今まで尻尾振って、れいりれいり言ってたのは何だったのか。
いつも引っ張りまわして、振り回して。
それでも、一緒にいる時間は楽しいと感じていた。


皆だって、今日は圭也の為に心配して集まってくれたというのに。
私達は圭也にとってなんだったというのか。


ずっと生涯一緒にいられるわけではない。
皆それぞれの道を歩いていく。


「もう行くから。」


握られていた手を振り払い、カチャリと虚しい音をたて扉が閉まる。
でも、こんなにあっけなく友達はいなくなってしまうのだろうか。

また、きーちゃんとみーちゃんのように一生会えなくなり、楽しかった時間が切ない記憶となってしまうのだろうか。

今の圭也にはそんな気配があった。


圭也の居なくなった部屋は誰も声を発することが出来ず、静まり返っていた。


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