執事と共に日常を。
「何か」


青年はつっけんどんな調子で言った。

青年の腕は橋にかかり、その腕を恵理夜の手が捕えていた。

大した力で摑まれている訳ではないが隙がない。


「私の、見えないところでやって」


恵理夜は、その男の腕をつかんだままそう言った。

そこは、恵理夜の自宅から十分ほど歩いた橋の上だった。

下を覗けば、冬の闇を飲み込んだ川が、悠然と流れている。
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