妖魔06~晴嵐~
動かすのは難しいがやってもらわなくては困る。

「俺が血路を開く。後から付いてきてくれ」

「でも」

「傷つくのが怖いか?」

「怖いだす」

「俺も怖い。でも、ここぞって時に傷ついてでもやらなきゃ、後悔が自分を支配しちまう。それは、お前もなんとなくだけど、分かるだろ?」

「うん、だす」

「お前に傷をつけさせずに出来る限りの事はするから、お前も付いてくるのに必死になってくれ」

俺は闇を纏ながら前へと走り出す。

「美咲、ジャスミン、琴、俺が行くまで絶対に死ぬなよ!」

腕の針を抜き放り投げ、左手で闇を前面へと押し出す。

「うおおおお!」

敵はまだまだいる。

後ろからは夢魔が怯えながらも、俺の速度に合わせて走ってきている。

巨大なはさみの大妖魔が俺を串刺しにしようと上空から落ちてきた。

「何の能力もない特攻なら、邪魔をすんじゃねええええ!」

上空に闇を放ち、はさみを消そうとした瞬間にはさみは二手に別れ、闇の能力を避けた。

そして、はさみが俺の両腕を切り落とす。

「くそ」

後方にいる夢魔も驚きは隠せないでいる。

「俺は美咲を、救ってねえ」

切れた腕の先から闇は漏れている。

「まだ、だ。まだ腕は死んではいない!」

形成されたのは、闇の右腕だった。
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