君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



「あ、ちょっ…!!!」

情けない声を出すことしかできないくらいの早業で、立ち上がる寸前のあたしを、奏の腕が再度引き戻し、飛び込んでいくような勢いのあたしの唇をそのまま奪った…


「可愛い」

「~~~っ!!!」

もう、何も言えなくなってしまった。


結局、悔しい!!!

なんなのさ、ばか奏!!!


「ばかとはなんだよ」

…またそのまま言ってた?!

パニック状態のあたしを自分ごと持ち上げて、ゆっくり立たせてくれると、さぁもう一回と言わんばかりにスイスイっと先に行ってしまった。

「ずるい」

この声だけは、聞こえてないんだろうね。


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