【企・雪集】真っ白な二人
*元カレと元カノ





ーーーキーンコーンカーンコーン♩

今日1日の授業を終えるチャイムが鳴り響く。


気が重かったけれど、さすがに無視はできない。
あたしはホームルームが終わった後、譲の元へ行った。


彼はニコッと笑って、『帰ろっか』と一言言った。


譲は一体何を考えているのだろうか。

いくら考えても、分からなかった。

モヤモヤとはまた違う。
あたしの心は、よくわからない気持ちが溢れてた。




ーーーー


帰り道、走り去って行く人や自転車を眺めながら譲と並んで歩いた。

こうして並んで帰るのは久しぶりだ。
付き合っていた頃以来。

なんだか少し緊張して、そして少しだけドキドキした。



『一緒に並んで帰るなんて、久しぶりだな』

譲が言った。


「あたしも、そう思ってた」


そう言ったら、彼は微笑んだ。

気持ちが重なった時の嬉しさ。
昔もよく感じてたな。

ほんの些細なことが、嬉しかったんだった。




『千紗さ、変わったな』

ポツリと譲が呟く。


「え?」


『俺がいない間にもっと可愛くなった』



彼が、譲が、あまりにも自然に言うから。
なんて言ったらいいのか、どう反応したらいいのか、分からなかった。


なんて答えればいいのよ。
バカ譲。困るじゃん。



「譲の方がもっと変わったよ。あの頃の譲じゃないもん。あたしの記憶の中の譲とは全然違う」


とりあえず、譲に話をもってった。

けど、ほんとに思ってることだよ。
譲、変わった。

久しぶりに譲を見た時、知らない人みたいだった。






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