幸せの在りか
車の中でおじさんに誠が話しかけた。
「ここの方たちは本当に皆さん、よく協力されるんですね。」
「年寄りが多いけんね。協力せんと生きていけん。」
「来る時は一日に三本しかないバスに、びっくりしましたよ。でもこうして送って頂いて助かります。」
「さ、着いた。気い付けて帰んなさいよ。」
電車に乗って窓の外を眺めていた。一面、田んぼや畑ばかりが延々と続く。
もうここに来る事はないんだろうな…。
と思うとこの景色を目に焼き付けておきたくて、誠と二人、何も言わず、ただじっと眺めた。