幸せの在りか


「こっちを向いて。ちゃんと俺の目を見て、何があったのか言ってみろよ。」

そう言って、涙の跡を親指で拭ってくれた。

あんまり優しく言うから、いつもの誠じゃないみたい。

じっとお互い見つめ合ったまま、沈黙だけが流れて行く。

落ち着いて、やっと口を開いた。

「…風が…。」

「風?」

「うん。風がきつくて、窓ガラスがガタガタ鳴って。ご飯の用意してる時はよかったんだけど、それが終わったら外は暗いし、急に静かで…。怖くなった。」

「お前、今まで一人だったんだろ?じゃあ、それまではどうしてたんだよ。」

「…怒らない?」

「怒られるような事してたんだな?」

はあー、とため息をついて、

「分かった。怒らねーから言ってみろ」




< 54 / 167 >

この作品をシェア

pagetop