幸せの在りか
パチ…
「あれ?」
パチ…パチ…
何回か試してみたけどつかない。
ふう――。大きなため息が出た。
「…止められちゃったかも…。は…何ヵ月もほったらかしじゃねえ。あ、あんた。もういいよ。ありがと。タクシー代、元気になったら返すから。」
そう言って二階に上がろうとしたら、いきなり手首を掴まれた。
「え…?な…何すんのよ?」
「俺んちすぐ近くだからおいで。電気もつかないとこで一人でいるよりはマシだろ?行っとくけど、病人に手を出す趣味はないから。」
そう言って、下駄箱の上に置いた鍵を手に取ると、また外に引っ張り出した。