幸せの在りか


駅から家までは自転車だと10分位で着く。

でも車でも遠回りをしていくからやっぱり10分位かかった。

小学校の前で降りて100m位歩いて家に着いた。

相変わらず真っ暗な家の前で鍵を取り出し、玄関を開けた。

う…吐きそう…。

慌ててトイレに駆け込んだ。昼食を食べてから何も口にしていなかったせいで、胃液しか出てこない。

送ってくれた彼がいつの間にか傍に来て、背中をさすってくれた。

少しずつ落ち着きを取り戻し、

「…ありがと。…もう…大丈夫…。」

と言った。

「…電気のスイッチはどこ?」

と聞かれ、ふらふらと壁をつたいながらスイッチを入れる。


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