とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




人間へと姿を変えた彼は銀髪をかきあげサングラスを取り出してかけると振り返り…


穏やかな風を纏いながらフードをまた深く被ってサリエルの傍らに膝を着いた。



『彼女大丈夫か?』


『…え!?…あ…ああ、大丈夫です!』


『そうか…良かった…』


そう言って右京はインカムに『アラン』と声をかけるが応答がないらしく、耳からイヤホンを外して叩いたりしていた。



『あ…あなたは…一体…何者なのですか?』


『…さあな…
人間って言いたいけど…そうもいかねーか…』


気を失ったアンナ・シモンズを見て右京はその額に手を触れた。



『…アンナ・シモンズ…
お前の“悪夢”は終わりだ。

今度はいい“夢”が見れるといいな…』


そう微笑むと右京は立ち上がってサリエルに目を向けた。



『彼女を自宅に戻してやってくれ。』


『ウリエル様!…ありがとうございました!』


『何言ってんだ。俺は何もしてない。

その人間を救ったのはお前だよ。』



そう言い残して右京はその場を後にした。



『ありがとうございます…!!』



サリエルはアンナを抱きかかえたまま、また涙を零した…




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