とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『ケケケ…本気になられても困りますぁ…』
『…“本気”…?』
右京は仁王立ちしたまま爆風と共に自分の黒い羽根を巻き上げた。
『…!?…』
『“本気”って言うのはなぁ、バラキエル…』
右京はガン!と焔の剣を突き立てた。
『ひっ!?』
圧倒な力の差。
『こういうのを“本気”というのだ!』
ゴツゴツと骨ばった6枚の翼がバキバキと生々しい音を立て…
そして真っ赤に光るオッドアイがバラキエルを正面から睨み付る。
『ひぃぃ!!!!』
眼力だけで体力を奪われバラキエルが放電し始めた。
転がるように逃げるバラキエルに『待て』と低い声を浴びせる。
『ラファエルに伝えておけ!!
そんなに気に入らないならいつでも“懺悔の天使”が相手になると!!』
最初の威勢はどこへやら、バラキエルがビリビリと電気を帯びながら慌てて逃げ帰る姿を見送ってフン!と鼻を鳴らした。