SIGHT
明日
「気をつけてお帰りください。万一体調が悪くなった場合は再度検査をいたしますので。」


「分かりました。ご迷惑おかけしました、失礼します。」


荷物をまとめて、病室を後にする。ご丁寧な事に医師だけでなく看護婦までもが退院するのを見送ってくれた。


夕べは正直言って眠れなかった。
葉子達に連絡を入れてからうっかり寝過ごしてしまったからだ。

起きた頃には外はもう暗くなっており、目の前には冷え切った夕食が置かれていた。


「まったく、起こしてくれれば良かったのに。」


…自分が悪いのだが。


しかし、そのおかげか、大学の課題のレポートを仕上げるために溜込まれた疲労はましになった。


しかし、消えた疲労の代わりに、私の体には自分でも意識しなければ大して気にならない程度の
頭痛が残った。


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