SIGHT
「よう、大輔。えらく遅かったじゃねぇか。」

朝一発目から通勤ラッシュに巻き込まれてイライラしているというのに、未来の猫型ロボットみたいな体型の奴が絡んでくる。

「相変わらずうるさいやつだなお前は。」


「人がせっかく心配してやってんのに連れねぇやつ。」


三頭身のおじさんに心配されてどうなるというのだ。


「はいはい。心配してくれてありがとう、ドラエ…涼太。」


「今名前呼ぶ前何て言いかけた?」


「何でもねぇよ。それより昨日の事故のこと何か分かってたか?」

「いや、大したことはまだ何も分かってない。」



コーヒーカップにコーヒーを注ぎながら静かに涼太は答える。

普段はバカな事以外話さないが、仕事に関しての腕は確かだ。
そうでなければ私は涼太とコンビを組んでいない。

取材に行く際には必ず二人以上のメンバーで行くことがこの会社では決められている。


「そうか。で、これからどうするんだ?」


「とりあえず事故が起きた現場に行ってから決める。昨日は警察がウヨウヨしてたからな。」


「了解。」


美味そうに砂糖とミルクのたっぷり入ったコーヒーをすする。だから太るのだ。

「なんだよチラチラ見てきて。さてはコーヒーが欲しいんだな?」


「愛する妻が入れてくれたコーヒーを飲んできたから結構。それにまだ糖尿病で死にたくはないんでね。」

「うらやましい限りだ。なあ、俺にも誰か紹介してくれよ。」



「黄色い妹にでも頼んでみろ。」

そう言い残して私は部屋を出た。

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