SIGHT
撮った写真を整理してみてもそれだけでは特に何も解らない。


「歪なブレーキ痕、これだけしか解らんな。」



口元を左手で押さえながら亮太が答える。




「まあな。あとはこの腕時計か…」


時が止まったままの腕時計は役目を終えて静かに形だけを留めている。



「…大輔。」


「何だよ?」



「昨日撮った写真これだけじゃねぇだろ?」


なんで解るのか不思議でならない。


「何言ってんだよ。フィルムん中全部現像したじゃねぇか。」



悟られないように平然を装う。


「それは仕事用の一眼レフのフィルムだろう。もう一個お前の愛機のフィルムの事だよ。」



…完敗だ。


「…隠すつもりはなかった。ただあまりにもショックが強すぎる。」


「何年コンビ組んでると思ってんだよ。」




仕事に関してはこいつには適わない。





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