SIGHT
走った。ただただ走ることしか今の私に選択肢はないと思う。

立ち止まれば襟をつかまれ引き戻されてしまう。

誰も後ろには居ないのに、居ないはずなのにその声は未だ頭に微かに響いている。


風を切る音でなんとか誤魔化すけれどそれもそろそろ限界に近い。


息が上がり脚が重くなる。




それでも立ち止まる事を拒否した。
家から下ったその先にはいつもと変わらない街がある。


人通りが多い街まで行けば楽になるかもしれない。



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