あたしの前だけ俺様王子☆
「………」
なに、これ…?
家を出てすぐ見えた光景に、あたしは空いた口が塞がらなかった。
だってさ、出てすぐのところに
黒くて長い車…リムジン、だっけ?
それが止まってるんだもの。
そしてそのドアを開け、あたしを招き入れる礼儀正しいおじいさん。
きっと執事かなにかだろう。
だけど、なんでこんな大それたものたちがあたしの家の前に?
アイツの家がお金持ちだとしても、あたしを迎えにくるだけなのに。
ここまでする必要、なくないですか?
「…おい、なにしてんだよ。早く乗れ」
いつまでも乗ろうとしないあたしに痺れを切らしたのか、
アイツ自らあたしを呼びにきた。