あたしの前だけ俺様王子☆
「…広すぎる……」
半ば無理やり乗せられた車の中での第一声はこれだった。
しかもこんな広い車にあたしとアイツ。
そして執事さんと運転手さんの四人だけだなんて。
どうしても無意味に思っちゃう。
「そろそろ着くけど、お前はちょっとここで待ってろよ」
「…え、なんで?」
ボーッと考えていたから、その言葉に対しての返事が遅くなった。
っていうか、ここで待っとくって…
あたし、絶対寝ちゃうよ。
「なんでって、お前…俺の着替えるとこ見たいのか?」
アイツがそういった瞬間車が止まった。
目的地に着いたみたい。
「べっ、別に見たくないわ!
早く行ってきて!」
そう言ったらアイツはクスクス笑いながら車から降りて行った。