あたしの前だけ俺様王子☆
アイツの名前
あっという間に過ぎた夏休みも、もうあと二週間近くしか残っていない。
九月中旬にある文化祭が近づいてきたため、今は全クラスの準備期間。
あたしたちのクラスはホスト&メイド喫茶をやることになった。
そのために学校へ来ていた。
だけど、最近のあたしはおかしい。
『立川、ここよろしく!』
「りょうかい」
『蓮くん、ここは~?』
「あぁ、そこは…」
アイツの名前が呼ばれる度に、その方向をみてしまう。
つい、アイツの姿を探してしまう。
おかしい、絶対おかしい!
こんなのあたしらしくない。
アイツなんか、アイツなんか…っ!
「小野さん。
これ、お願いできる?」
「ふぇ!?」
急なことにびっくりしたあたしは、つい変な声を出してしまった。