あたしの前だけ俺様王子☆
着いてからも無言な彼に、あたしから声をかける。
「あの、ほんとにありがとうね。
すごく助かったよ」
もう一度感謝の言葉を言う。
だけどまだなにも言わない。
というか、なんか機嫌悪い…?
「あ、あの…」
「お前さ、まじバカだろ」
あたしの言葉を遮って発した最初の言葉がそれだ。
え、なんでそうなるの…?
不思議そうな顔をするあたしに呆れたようにため息をつく。
そしてあたしの腕を優しく持った。
「…こうなる前に誰か呼べよな。
もし俺が気づかなかったらどうするつもりだったんだよ」
そう言って掴まれて赤くなった部分をそっとさすった。