[企]*white valentine*
休憩から戻ってチサと交替する。
「菜月、ショーウィンドウ変わってた?」
「まだだったよ。明日からかもね」
「じゃぁ今日は感想聞きに来ないよねー。時間たっぷり休憩行ってきまぁす」
裏口からチサは休憩へ出かけて行った。
そのチサと入れ替わるかのように、正面のドアから蓮さんが現れた。
「いらっしゃ……蓮さん!どうしたんですか!」
「おー、菜月ちゃんお久!ごめんねー、この前より汚くて!」
私が声を張って聞いてしまったのは、蓮さんが顔や作業着、至る所に黒い汚れをつけていたからだ。
「……これ、ペンキですか?」
「墨なんだよ。お正月の準備してたらこんなことになっちゃった。
もう乾いてるから大丈夫!あ、いつもの席座っていい?」
まだ2回しか座ったことがないのに、窓際の席はいつの間にか蓮さんのいつもの席になっていた。